月に入り夏本番。海水温がぐんと上がるこの季節は、一年でいちばん釣りものが豊富になるシーズンだ。
「せっかくの休日、何を狙えばいいのか」と迷っている人も多いのではないだろうか。
夏は多彩なターゲットが狙える。
今回は、初心者でも狙いやすい夏の代表ターゲットを4魚種、釣り方と食べ方のポイントとあわせて紹介する。
道具立てのハードルが低い順ではなく、堤防・砂浜・船・磯・河川とフィールド横断で選んだので、参考にして欲しい。
シロギス(キス)|砂浜の女王は「足」で釣る

夏の投げ釣りの主役である。砂浜や堤防からの「ちょい投げ」で手軽に狙え、日中でも釣れるのが初心者にはありがたい。
昨年7月中旬、千葉・富津の砂浜と堤防で早朝から竿を出し、15〜20cmを15匹という釣果に恵まれた。
タックルはホリデーパック20-210にアルテグラC3000という、けっして大げさではない道具立て。
オモリはジェット天秤の10〜15号に、市販の仕掛けである「手返しキス」2本針・がまかつ、エサはジャリメである。
竿の長さから、仕掛けの全長は150㎝程度までのものを選ぶと扱いやすいのでお勧めだ。
▼この日の実釣タックル
- 竿:シマノ ホリデーパック20-210 → リンク
- リール:シマノ アルテグラ C3000 → リンク
- 仕掛け:がまかつ 手返しキス 6号 → リンク
- 天秤:ジェット天秤 10〜15号 → リンク
この日の釣果を支えたのは、昔から言われる「キスは足で釣れ」の言葉である。
1カ所で粘らず、1投ごとに少しずつ立ち位置をずらして広範囲を探る。
さらに、ゆっくりリールを巻きながら、海底に変化を感じた場所では少し待つ——これを意識しただけで、アタリの数が明らかに増えた。
もうひとつの分岐点は鈎のサイズだ。
最初は9号でスタートしたが、プルプルッとアタリはあるのに針掛かりしない。
思い切って6号まで落としたところ、鈎掛かりが目に見えて良くなった。
アタリがあるのに乗らないときは、まず鈎を疑う。
少なくとも2種類のサイズは用意しておくことをお勧めしたい。
釣ったキスは背開きにして天ぷらに。
ここでひと手間、開いたあとに軽く塩を振り、冷蔵庫で30分ほど寝かせると旨味がぐっと高まる。
ふわふわの食感を味わえるのは、まさに釣り人の特権である。

気温が上がるにつれてキスは浅場に寄ってくるため、真夏は遠投しなくても十分釣れる。
海水浴場に隣接した砂浜なら、海水浴客が来る前の早朝が狙い目で、暑さ対策にもなる。
美しい魚体に似つかわしくない強い引き。
釣っても食べても良し、夏の最初の一匹に文句なしのターゲットである。
マアジ|手漕ぎボートで狙う「走水の大アジ」

堤防のサビキ釣りが定番のアジだが、一歩踏み込むなら手漕ぎボートをすすめたい。
昨年8月、大アジが釣れることで有名な横須賀・走水の手漕ぎボートで竿を出し、釣果は20匹。
うち4匹は40cmを超える、いわゆる「大アジ」だった。
夏場にかけて、大アジが手漕ぎボートでいける範囲でも釣れ始める。
タックルはライトゲームBB(7:3調子)にバルケッタBB 150HG。
ともにライトな船釣りには最適なお求めやすいエントリーモデル。
竿は扱いやすい7:3調子がお勧め。
リールは棚(水深)の分かるデジタル表示付きのベイトリールが使いやすい。
リールに巻く道糸はPEラインの2号、スナップサルカンを結んでおき、その先に天秤を接続する。
仕掛けはクッションゴムの先にハヤブサの船宿特製アジビシ仕掛(2本鈎10号・ハリス2号)、ヤマシタのアンドンビシ40号にイワシミンチを詰め、刺し餌は青イソメもしくは自作のイカorエビタン(イカorエビを5㎜幅にカットし、共立食品・食用色素「赤」で着色したもの)を使う。

▼実釣タックル
- 竿:シマノ ライトゲームBB TYPE73 MH195 → リンク
- リール:シマノ バルケッタBB150DH-HG → リンク
- 仕掛け:ヤマシタ ライトテンビン → リンク
- 仕掛け:ヤマシタ 船宿特製 ゴムヨリトリ(クッションゴム) → リンク
- 仕掛け:ハヤブサ 船宿特製 アジビシ仕掛け 2本鈎2セット → リンク
- ビシカゴ:ヤマシタ アンドンビシ40号 → リンク
- 食紅:共立食品 食用色素赤 → リンク
手漕ぎボートの釣りは、良くも悪くもすべてが自分次第である。
ポイント選びで釣果が決まると言っても過言ではない。
初めての場所なら、出船前にボート店の人に聞く、常連客の向かうポイントに注目する、多数のボートが集まっている場所の近くに向かう——これらを意識するだけで、当てずっぽうとは結果が変わってくる。
そしてもうひとつ、忘れられない失敗がある。
周囲のボートは次々と大型を釣り上げているのに、自分だけ釣れないことがあった。
私は底から2mの棚で狙っていたのだが、全く釣れず。
見かねた隣のボートの釣り人からアドバイスをもらうと、なんと底から4m。
半信半疑で棚を合わせた途端、釣れ始めた。
アジ釣りは棚が重要——身をもって学んだ教訓である。
釣れないときは、素直に周りに聞いてみるのが良い。
30cmを超えると引き味が別物になり、40cm超ともなればドラグが滑り、一進一退のやり取りが楽しめる。
とくに、今回紹介したタックルは通常の船釣りで使うものと比べ、細く軽く繊細なため、大アジの引き味を存分に楽しめる。
堤防の豆アジしか知らない人には、ぜひ一度この引きを味わってほしい。
釣った大アジは刺身、中アジは干物にすることが多い。刺身に加えて、軽く炙るのもお勧め。
刺身や干物であれば、皮は食べないので、鱗やゼイゴは取らずに捌いてもOK。
効率良く捌くことができる。
疲れて帰宅した後の魚の処理は苦行である。
なるべく短時間で効率良く処理を行いたい。

そして何より手漕ぎボートの魅力は、自分のペースで自由気ままに釣りができる点である。
ポイント選びから棚取りまで、すべて自分の判断が釣果に返ってくる。
この「自己完結の面白さ」こそ、ボートアジの醍醐味だ。
イサキ|磯のフカセで味わう「道糸をひったくるアタリ」

イサキといえばコマセ船のイメージが強いが、磯のフカセ釣りで狙うイサキ釣りも面白い。
今年6月、南伊豆・妻良地区の「天上」という磯に渡船で上がり、日中の釣りで25〜30cmを20匹の釣果に恵まれた。
当日はまさに梅雨といった曇天で時折小雨のパラつく中、まさに梅雨イサキの本領を味わう一日である。
タックルは極翔1.2号-500にBB-XハイパーフォースC3000HG。
ウキは潮に合わせて0〜2Bを使い分け、ハリスは東レ・スーパーLハードの1.2〜1.7号、鈎はオーバーばり・速攻グレの6〜7号である。
▼実釣タックル
- 竿:シマノ 極翔1.2号500 →リンク
- リール:シマノ BB-XハイパーフォースC3000DXXG → リンク
- 仕掛け:東レ・スーパーLハード1.5号 →リンク
- 仕掛け:オーナーばり・速攻グレ6号 → リンク
磯のイサキでカギになるのは、棚とコマセワークだ。
仕掛けは潮の流れに乗せて流し、棚は2ヒロからスタートして、アタリが出る層まで竿1本分を目安に少しずつ下げていく。
そしてコマセは、少量ずつ絶え間なく撒き続けること。
ドカ撒きして待つのではなく、潮下の遠くにいる魚を、少量ずつ撒いた撒き餌の帯でこちらまで近づけてくるイメージである。
そして流れの中に撒き餌の道が途切れず、仕掛けがその帯に重なったとき、イサキは驚くほど素直に口を使う。
そしてこの釣りの醍醐味が、何と言ってもアタリの出方だ。
ウキがじわりと沈むような繊細なものではない。
道糸をひったくっていくような爽快なアタリが、手元まで一気に伝わってくる。
この瞬間のために遠路はるばる磯に向かうと言っても過言ではない。
釣った梅雨イサキは刺身と塩焼きに。産卵前で脂がのっており、「磯の鯛」の異名は伊達ではない。
真子(卵)は煮付けにすれば、釣り人だけが知る初夏の味である。

渡船と聞くとハードルが高く感じるかもしれないが、伊豆の渡船屋はどこも親切な船頭が多く、当日船頭と相談すれば足場の良い磯に乗せてくれる。
船のイサキとはひと味違う、能動的に魚を寄せて獲る面白さ。
暑さ対策は万全にし、磯釣りという非日常感を味わうことができる。ぜひお勧めしたい。
クロダイ(チヌ)|川で見かけた良型のクロダイ
今年の夏挑戦したい釣りにクロダイのヘチ釣りが挙げられる、それには理由がある。
鶴見川沿いをランニングするのが日課なのだが、夏にかけて護岸の壁際に、短い竿を静かに構える釣り人の姿が増える。いわゆる「ヘチ釣り師」だ。
そして彼らが、型の良いクロダイを抜き上げる場面を頻繁に見かけるのである。
あの都市河川で、あのサイズが、足元で釣れている——ランニングの足を止めて見入ってしまったのは一度や二度ではない。
仕掛けは驚くほどシンプル。
2.5〜3m前後の穂先が柔らかい専用竿に、「タイコリール」と呼ばれる円形の片軸リール。
道糸は視認性の良いナイロン2号、ハリスはフロロの1.5号、針はチヌ針2号、あとはガン玉数個。
ウキすら使わず、糸の動きと手感度でアタリを取るという。
この道具立てで年無し(50cm超)まで狙えるというのだから、コスパで言えば最強クラスの釣りだろう。
都会の川でこれほど大物と勝負できる釣りは、そうない。
エサはイガイやカニ、夏ならフジツボも特効エサになるようだ。
壁際に付いた貝が剥がれ落ちてくるのを、クロダイは待ち構えている——つまり壁から30cm以内にエサを自然に落とせるかがすべて、というのがこの釣りの核心のようだ。
鶴見川で見たヘチ師たちが、あれほど静かに、壁に張り付くように釣っていた理由がようやく分かった。狙い目は満潮前後、そして雨後の濁りが入ったタイミングだという。
汽水域である鶴見川は、条件としてはむしろ好適地なのだ。
クロダイ自体は、磯釣りや船釣りの外道として釣ったことが何度かある。頭を振りながら底へ底へと突っ込む強烈な引きは経験済みだ。
あの引きを、足元の壁際で、道糸が走る瞬間から味わえるのだとしたら——想像するだけでワクワクする。
本来は専用竿に専用リールで釣りをした方が、釣りやすいだろうが、まずは手持ちのタックルで初めてみようと思う。
夏の釣りは「暑さ対策」もタックルのうち
夏の釣りで何より大切なのが熱中症対策である。
釣行は朝夕の涼しい時間帯を中心に組み立て、熱中症対策にも、帽子・飲み物・サングラスは必ず用意したい。
日中に釣る場合は、日陰のない堤防や磯では照り返しもあり、数時間過ごすことの過酷さを甘く見てはいけない。
クーラーボックスがあれば、飲み物以外に凍らせたタオルやゼリーを入れておく。
ない場合は、冷タオルを潜ませておくのもお勧めである。
まとめ
夏はシロギスのような手軽なターゲットから、手漕ぎボートの大アジ、磯のイサキ、そしてヘチ釣りのクロダイまで、選択肢が一年でもっとも広がる季節である。
大切なのは、背伸びをせず自分の体力と時間に合った釣りから始めることだ。
安全第一で、良い釣りを!


